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 INDEX // Step1:ベーシックグッズ // Step2:イクイップメント // Step3:ウェアリング // Step4:フットウェア
 Step5:パッキング // Step6:キャンプサイト //  Step7:食事 // Step8:ナイトライフ // Step9:キャンプライフ
 Step10:トレッキング // Step11:サバイバル // Step12:撤収 // Step13:メンテナンス

合理的なパッキング

 キャンピングの装備を全てあわせると、20〜30kgもの重量になる。バランスとともに、それぞれの装備の使用頻度や緊急時の重要度なども勘案してパッキングする必要がある。

 

パッキングの実際

 パッキングでもっとも重要なのは、重量バランスです。この良し悪しで、疲労度がまったく異なる。

 上下2気室のコンパートメントにサイドポケットとパネルオープン式のフロント大型ポケット、さらにトップポケットを装備したグレゴリー「ホイットニーパック」。各コンパートメントを有効に使うことで、快適な山行が楽しめる。

 

軽量コンパクト化

 食品類のパッケージは案外嵩張るので、余分なパッケージは捨てたり、あらかじめ下拵えした食材をジップロックなどに入れて持ち運べば、かなり軽量化できる。

 

防水

 防水ラバーのシェルに止水ジッパー、溶着技術を用いた完全防水バック「WX-TEX-ハルバッグ」。シーカヤッカーには定番のバッグ。
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 防水生地のシェルにエアバルブを装備して、コンプレッションによるコンパクト化もできる「WX-TEXニュウモ」。衣類やシュラフを収納するのに最適。
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Step5 : パッキング

[ INDEX ] 
1.合理的なパッキングとは 2.重いものは上、軽いものは下
3.パッキングの実際 4.軽量、コンパクト化のコツ 5.防水
FOR EXAMPLE : 6.パーティの場合 7.オートキャンプの場合

■合理的なパッキングとは■

 アウトドアフィールドへ臨むときのベーシックなスタイルが、自分の背中にすべての装備を背負って出かけることとすれば、ここまで紹介したように装備を厳選することが大切ですが、さらにその先、ザックへのパッキングも非常に重要な技術となってきます。キャンプをベースにトレッキングする場合でも、もちろんパッキングの技術は重要です。装備の技術革新が進み、コンパクトで軽量な装備ばかりになったとはいっても、数が集まればその重さはばかになりません。しかも、ただ歩行時のバランスを考えるだけでなく、装備の使用頻度によって取り出しやすさも考慮してパッキングしなければなりません。これには、かなり高度な想像力とインテリジェンスが要求されます。

 

●重いものは上、軽いものは下

 パッキングの第一のポイントは、基本的に、重いものはザックの上部に、軽いものはなるべく下部に収納することです。なんとなく物理的に矛盾しているように思えるかもしれませんが、腰で荷重を支える縦長ザックの構造上、力学的に重いものを上にしたほうが、理に適っているのです。

 人間は歩くときに上体を前傾させます。とくに背中に荷物を背負っているときには、上体を直立させていては、そのまま後ろに倒れてしまいますから、自然と背中の上部に荷物を載せるような形の前傾姿勢をとります。重力は鉛直方向に向いているわけですから、このとき、ザックの上のほうに重いものが収納されていれば、前傾した背中上面に荷重が掛かり、重力は背骨から腰に自然に伝達されます。これで安定するわけです。

 逆にザックの下部に重いものがあると、荷重は背中を下へ押すようにはかからず、後ろに引く方向にかかってしまいます。これでは、体のバランスがとりにくく、荷を前方へ引き戻すための余計な力が必要となってしまいます。同じ理屈で、重いものはザックの中のなるべく体に近い位置にあったほうが安定します。

 そういった原理をふまえて、ほとんどの大型ザックはコンパートメント(気室)が上下二つに分かれる構造になっています。下のコンパートメントは軽いもの、主に衣類やシュラフを収納し、上部コンパートメントにはその他の装備を収納する形になるわけです。

 上下の重量バランスとともに、左右のバランスも大切です。左右で重さが違えば、ザックは重いほうに傾ぎ、歩行のバランスを崩すし、それを修正するための余分の体力も必要となります。左右方向も、体の重心に重いものがより近くなるように、ザックのなるべく中央部に重量物をパッキングするようにします。

 そして、冒頭にも紹介したように、重量バランスと同時に装備の使用頻度を考慮する必要があります。以下では、それも含めて、パッキングの実際を紹介していきたいと思います。

・追記

 パッキングの善し悪しを判断するのに、じつは非常に単純な方法があります。それは、パッキングし終えたザックを支えなしに平らなところに置いてみることです。ドサッと置いて、そのまま微動だにしないようだと、これは重心が下にきすぎている証拠です。また、左右か後方へ倒れてしまうようでもいけません。それはパッキングのバランスが崩れている証拠です。上手にパッキングされているザックは、ゆっくり前方へ傾ぐはずです。それは、重心がザックの上部内側にかかっているからです。

 

●パッキングの実際

 ザックのコンパートメントはメインが上下二つに分かれるわけですが、それ以外にも、トップポケット、サイドポケット、カンティーン(水筒)ホルダーなど、たくさんのコンパートメントを持っています。行動中に多用する小物類はそれぞれのポケットに収納するように設計されているわけです。例えば、トップポケットにはマップ、コンパス、ビノキュラーなど。左右のポケットには、雨具、ファーストエイドキット、シェラカップ、ちょっとした行動食、ナイフ、細引き、軍手、汗拭き用のタオルなど。カンティーンは、ポケットに収納するかカンティーンホルダーにといった具合です。

 下部のコンパートメントには、先にも説明したように主に衣類を収納します。これは畳んだ衣類をここに直接入れるよりは、下着、インナー、アウターそれぞれをいったんスタッフバック(衣類などを入れる丈夫なゆったりした袋)にまとめ、それからコンパートメントに入れるようにすると合理的です。こうすれば、着替えるときにわかりやすいし、メチャクチャに詰めた衣類が膨らんでファスナーが締まらないといった失敗も犯さずにすみます。

 上部コンパートメントの最下部にはシュラフを入れる(下部コンパートメントに収納しきれればそれでもOKです)。その上にコッヘル、予備のガスカートリッジまたは予備燃料、ストーブ、ランタン、食糧を収納します。それらと、背中との間に二つ折にしたテントマットなどの柔らかいものをクッション代わりに収納します。サイドポケットに入りきらなかった小物類は、コッヘルやストーブの隙間に押し込んで、ザックの中で荷物が暴れないようにします。そして、最上部には、キャンプサイトに到着したら真っ先に広げるテントを収納します。

 といったところがパッキングの代表的なスタイルです。パッキングで大切なのは、背中への当たりや重量のバランスで不具合を感じたら、面倒がらずにザックを降ろし、パッキングし直すこと。だいたい上記のようなセオリーを守っていれば、微調整を二度も行えば、背負い心地がグッとよくなるはずです。

・追記

 ザックの外側のストラップにカラビナやナスカンを使ってシェラカップなどを吊るす人もいますが、こういったスタイルは、あまりお勧めしません。背中で暴れてうるさいし、やぶこぎなどでは、引っかかって邪魔になるし、なにより衛生的でありません。

 また、最近のザックでは腰の横にカンティーンホルダーが装備されているものが多くなりましたが、ものによっては、深さが十分でなかったり、収納するカンティーンのサイズが小さかったりすると、ザックを背負って俯いた拍子に落としたりすることがあるので注意が必要です。

 

●軽量、コンパクト化のコツ

 荷物はなるべく軽いに越したことはありません。荷物の軽量化でまずポイントとなるのは、装備を厳選すること。どんな事態が起こるかわからないフィールドへ出かけるわけですから、ついあれもこれもと持っていきたくなるのが人情ですが、自分の目的と季節や目的地の環境を考え合わせて、なるべく汎用性の効くものを選んで、グッズの数を少なくしましょう。

 そして、無駄なものをとことん省くことも大切です。とくに、食料品のパッケージは事前に剥いで、ジップロックなどの再使用可能な軽いパッケージに必要な分量やメニュー別にまとめて仕分けします。生の野菜などはなるべく避けて、下ごしらえしたものをタッパーなどに詰めていけば、調理の手間が省けると同時に、軽くコンパクトにパッキングできます。

 予備の燃料なども、つい心配で多めに持っていきがちですが、あらかじめストーブを試用して燃料の消費量を把握しておけば、予備燃料がどれだけ必要か、当たりがつけられるはずです。装備の使用法に習熟しておくという意味でも、購入したストーブをフィールドでいきなり使いぞめしないで、あらかじめ使ってみることが大切です。

・追記

 アウトドア用の食品としては、フリーズドライのものがポピュラーですが、アウトドア先進国のアメリカには、野菜やフルーツなどの食材を家庭で簡単にドライフーズにする機械がかなり普及しています。網の上に切った食材を置き、スイッチを入れると、下から温風が吹き上げられて、水分が蒸発するといういたって簡単な仕組みです。フリーズドライと比べれば風味は損なわれやすそうですが、高価なフリーズドライ食品を買うよりはずっと安くすみそうなので、心を動かされています。

・追記

 予備燃料で困るのは、半端に残ってしまったガスカートリッジです。半端なカートリッジでは足りない。満タンのカートリッジでは多すぎて、それを持っていくとまた半端なカートリッジを作ることになる。けっこうジレンマに悩むものです。ぼくは、カートリッジの残量に応じてランタン用とストーブ用に使い分けています。半端な残量のカートリッジは燃料消費の少ないランタン用にして、新たな満タンカートリッジをストーブ用にするのです。こうすれば、満タンカートリッジ=ストーブ→半端になったら=ランタンという形の燃料サイクルで、装備の無駄も少しは防げるわけです。

 

●防水

 今のザックはほとんどが内側にウレタンコーティングなどの防水処理が施されているので、少しくらいの雨なら中が濡れる心配はほとんどありません。

 でも、強い風雨にさらされたり、渡渉の最中にあやまって川に落ちたりすると、どうしてもトップポケットと本体の間やサイドポケットのファスナー部分あたりからの浸水は防げません。雨の中を長時間歩いたり、途中で渡渉が考えられる場合は、防水対策を考える必要があります。

 もっともてっとり早いのは、大型のポリ袋をコンパートメントの中に広げ、その中に荷物を収納することです。先に紹介したようにスタッフザックに装備を小分けするなら、そのスタッフバック自体を防水生地のものにするという方法もあります。

 また、雨を防ぐだけなら、ザックカバーを使っても効果的です。ザックカバーは、ザックの外側を覆う形ですっぽり包む形の防水布。防水の観点からいうとザックの丸洗いはあまりお勧めできません。その点、こまめにザックカバーを使用すれば、ザックの汚れが防げて結果的にザックが長持ちすることにもなります。

・追記

 近年はコーティング技術の進歩や止水ジッパーの開発と改良によって、ザック自体の防水性が飛躍的に向上したほか、マリンスポーツやシャワークライミングなどで防水対策なしにそのまま使用可能な防水ザックも多く出回るようになりました。

 いちいちザックカバーをかけるのが面倒というのなら、防水対策のしっかりしたザックをはじめにチョイスするのも賢い方法です。

 またインナーバックでも完全防水に加えエアーバルブを装備してコンプレッションが効くWX-TEXのような製品もあります。こちらは、シュラフや衣類を収納して、余分な空気を逃がしバルブを閉じてやれば、たとえザックが水没しても中のものは濡れず、またコンパクト化できるので一石二鳥といえます。

 

-- FOR EXAMPLE --

●数人のパーティの場合

 数人のパーティを組んでキャンプする場合は、テント、ストーブ、ランタン、予備燃料、コッヘル、食糧などは共同装備として分担すればいいから一人あたりの背負う荷物は少なくなります。パッキングの仕方は今まで説明したセオリーと変わりありませんが、パーティの際のポイントは、体力に合わせてそれぞれの分担を決めることです。とくにいちばんの重量物であるテントは、いちばん体力がある人が持つようにします。分担が決まったら、それぞれの装備に関してそれぞれの担当者が管理に責任を持つことも大切です。

・追記

 パーティでの共同装備の分担は、公平にするのがなかなか難しいところです。いちいち秤にかけて重さを調整するわけにもいかないし……。ぼくがパーティを組む場合、よくやる方法は、装備の重いものから体力順に振り分けて行くという方法です。テントを持つのはパーティの中でいちばん体力のある人、次に重い食料は二番目に体力のある人に、次に重い予備燃料は三番目といった具合に割り振っていくわけです。負担の山分けとでもいったらいいでしょうか。

 
●オートキャンプの場合

 オートキャンプの最大の特徴は、積める荷物の量が圧倒的に多いということですね。ラゲッジスペースの大きなワゴンやRVなら、キャンプ用品以外にもマウンテンバイクやフォールディングカヌーなども余裕で搭載できます。

 しかし、いくらスペースがたっぷりあるからといって、なんでもかんでも適当に放り込んでは、どこに何があるのかわからなくなってしまうし、コーナリングで横Gがかかったときに荷崩れを起こして危険です。

 車に荷物をパッキングする場合、まず注意しなければならないのは、左右と前後のバランスです。重量物は、なるべく車の中心近くに集めたほうがハンドリングに与える影響が少なくなります。ツーバーナーストーブやキャンプテーブル、ファミリーテントなどは、なるべく後輪の車軸より前の中央部に積むのがコツです。また、上下のバランスはザックへのパッキングとは逆で、重量物は下、軽いものは上に載せるようにします。重心をなるべく下にするというわけです。

 ステーションワゴンタイプの車なら、ブレーキング時に荷物が居室のほうへ滑り落ちないようにブロックするカーゴネットの使用をお薦めする。

 車のルーフに積載する場合も積み方は同じですが、この場合は、荷崩れを起こすと、そのまま道路に落下して非常に危険なので、全体を覆うカンガルーネットを利用するなどして、荷物の固定は確実にすることが大切です。

 さらに、荷物が多い分、きちんと整理されてないと、いざその装備を使おうというときに、みつからないといった事態も多々起こります。装備はその用途毎に、例えば、食料品とコッヘル、ナイフ、まな板、水タンクなどをキッチン関係として一まとめにコンテナやスタッフバックなどに整理しておくといいでしょう。

・追記

 ぼくがオートキャンプに使用しているのは、4WDのトラックです。このタイプの車は、非常にルーズに荷物が詰める反面、荷崩れなどのトラブルも多いので、気を使います。それでも、ダートを走っているときに、荷台に乗せておいたクーラーバックが暴れて、中のビール缶が破裂、クーラーバッグの中がビール浸しなんてことがよくあります。このときは、2000mを越える峠を越えたので、気圧が下がっていたこともあって、噴水状態でした。その他、ランタンのマントルはバラバラになるし、火屋が割れたこともありました。

 クルマに積む場合、パッキングの方法と同時に、乱暴な運転をしないということもポイントですね。


 
 

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