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フィールドを楽しむ
















 

読書

 

お勧め図鑑 

 

 

アニマルウォッチング

 冬のフィールドでは、動物たちの足跡を探す「アニマルトラッキング」も面白い。スノーシューを履いて、普段は人の入らない雪に埋もれた樹林の中を行くと、ウサギやテンやキツネがびっくりして飛び出してくる。足跡もはっきり残り、冬の最中に彼らが活発に活動しているのがよくわかる。

 

山の幸

 

スターウォッチング


 今まで星空の観察には星座盤と懐中電灯が定番だったが、「スターポケット」という製品はライト内臓のスコープで、外周リングで日時を合わせて覗けば、その瞬間の星座がわかる。片手にすっぽり収まるサイズなので邪魔にならずに便利だ。

 

 

 

 

 

 



 

Step9 : キャンプライフ

[ INDEX ]
1.フィールドを十二分に楽しもう 2.キャンプライフを充実させよう
3.読書 4.お薦め図鑑 5.バードウォッチング 6.アニマルウォッチング
7.山菜、キノコ狩り 8.スターウォッチング 9.ロープワーク 10.ハンドクラフト

 

■フィールドを十二分に楽しもう■

 キャンプサイトでの過ごし方に、これといったセオリーはありません。しかし、テレビもないし、ゲームもカラオケもないフィールドで、ただ漫然と過ごしていたのでは退屈なだけです(もっとも、近頃はテレビもゲームもカラオケもアウトドアでも使えることを歌い文句にしているものあります……こんなものをキャンプサイトまで持ち込む神経は理解できませんが)。「何も遊びがないじゃないか」と、すぐに諦めるなかれ。周りを見渡せば、フィールドには日常生活では味わえない豊饒な世界がいくつも広がっているのですから。

 

●キャンプライフを充実させよう

 朝、射し込む朝日と爽やかな鳥の鳴き声に目を覚ます。少し寒いので、昨晩消した焚火をまた起こす。でも本格的に暖まるほどの火は必要ないので、細い枝を何本かくべるだけで、雰囲気重視の焚火。コーヒーをいれ、スープとパンケーキの朝食。その後片づけが済んだら、さて、何をしましょうか?

 トレッキングの予定があるなら、さっそく準備にかかります。これといった予定がなければ、その時の気分と、フィールドの環境に合わせた"遊び"を実践しましょう。

 MTB、カヌー、フィッシング……、フィールドでの遊びというと、すぐにそういったいわば大物のレジャーが想像されるかもしれません。もちろん、はじめからそれを目的に準備していくキャンプでもいいわけですが、ミニマムな装備でフィールドに出かけるベーシックキャンプの枠内でも、十分に楽しめる遊びはたくさんあります。

 

●読書

 フィールドを十二分に楽しもうと言っておいて、いきなり読書とくると矛盾するようですが、ナイトライフとも絡んで、キャンプサイトでの時間の使い方としてはけっこう楽しめるアトラクションだと、ぼくは思っています。とくに、雨でテントに中での停滞を余儀なくされたときや、ソロキャンプの長い夜の時間を味わうには、読書が最適です。といっても、くだらない小説やマンガなんぞにうつつをぬかしてはいかにももったいないので、余計な雑音に惑わされず、読書に集中できる環境を利用して、ふだん途中で投げ出してしまいがちな思想書や古典でも紐解いてみてはいかがでしょうか。

・追記

 静かなキャンプの雰囲気をさらに深く味わうとすれば、ソロー『森の生活』や、このコンテンツが手本としているコリン・フレッチャー『遊歩大全』などもお勧めです。『森の生活』は、19世紀後半に、早くも物質文明の人間疎外に疑問をいだいたソローが、ウォールデンという湖の辺に小屋を建てて独りで暮らしたその生活記。慌ただしい情報化社会の中にある我々が置き忘れてしまった大切なものを思い出させてくれます。『遊歩大全』は、ソロで広大なアメリカ大陸を渡り歩くフレッチャーの極めて実践的なノウハウと、フィールドの哲学者ともいえるフレッチャーの示唆に富んだ思索が綴られています。

 他に、キャンプの読書にベストマッチといえる書籍はたくさんありますね。とくにソロでキャンプする場合は、お気に入りの一冊が、心の友になってくれます。

 

●お薦め図鑑

 フィールドで遊ぶためには、具体的な手引きがあると便利です。その筆頭は、やはり図鑑でしょう。英語を勉強する際に英和辞典を引くように、図鑑は、自然の中にある断片を手がかりに自然への理解を深めていくための辞典といえます。

 書店のアウトドア関連本のコーナーを覗くと、本書のようなノウハウ本をはじめ、図鑑類の種類の多さには圧倒されます。いったい、どれが使いやすい図鑑なのか悩むところです。そこで、図鑑選びのポイントをいくつか紹介しましょう。

 最初のポイントは、カラーページが多いことです。その分野をこれから探求していこうという初心者には、形や細部からモノを同定するのは、けっこう厄介な作業です。その点、モノの違いがいちばん際だつのが色。当然、カラーページの多い図鑑が、まずおおまかな同定をするためには使いやすいといえます。

 次のポイントは、コンパクト性です。図鑑と一緒にルーペやビノキュラーを持ちながら観察することもよくありますから、片手で持ててページがめくれるくらいのコンパクトサイズのものがフィールドで実際に使う図鑑としては適当でしょう。

 内容は、それ一冊で全てをカバーするような欲張った構成のものではなく、例えば「水辺の鳥」とか「山鳥」、「春の植物」、「実の生る樹木」といったように、限定されたもののほうが、網羅されている事項が少なく、初心者にとって同定しやすいものです。また、限定された内容のものなら、それだけページも少なく、軽いというメリットがあります。他の装備を選ぶのと同じように、図鑑も、季節やフィールドの条件に合わせて選べばいいわけです。

 とくにお勧めなのは、日本野鳥の会のような専門団体が発行、もしくは監修している図鑑です。これらは、シンプルながら同定のポイントがしっかり押さえた解説で、非常にわかりやすい構成になっています。

 以上のようえなポイントを押さえて、図鑑を選び、フィールドで辞典を引くようにことある毎に広げて、実際そこに咲く花や飛ぶ鳥を同定するようにすれば、知らず知らずのうちに知識が増え、楽しみの幅も広くなるというものです。

・追記

 うちの書棚を見渡すと、けっこうなスペースが図鑑で占領されています。きのこ、海の幸、山の幸、鳥、高山植物、木の実、鉱物、気象……、それぞれの分野で大部なものからパンフレット程度のものまで、いろいろあります。最初は、ビジターセンターなどでもらったパンフレットから興味を持って、次第に、それだけでは足りなくなって、より深い内容をとエスカレートしていくうちに、今度は専門書にまで手を出すというパターンで、いつのまにかたまってしまったものです。でも、それは、自分の教養や知識がそれだけ膨らんだことの証明でもあるわけですから、けっこう自慢でもあります。アウトドアフィールドは、様々な知的刺激にあふれた場所でもあるのです。

 

●バードウォッチング

 キャンプサイトからほんの少し離れて、獣道を散策していたときのこと。地面のある一カ所だけスポットライトが射したように、明るく浮き上がっていました。側へ寄ってみると、ヤマボウシの赤い実がたくさん落ちています。「なんだろう?」、立ち止まり、かがむと同時に、ポトッと、目の前にその実が……すると、またポトリッ。見上げると、樹の上のほうで、嘴にその実をくわえて、今まさに実を落とそうとしているムクドリが一羽……。一瞬、視線が合うと、彼は思わず目を外らし、素知らぬ顔をします。そのとぼけた表情が、とある知り合いの顔にそっくりで、ぼくは、上を見上げたまま、おもわず吹き出してしまいました。ただ別の生き物として観察するだけでなく、鳥も動物も人間と同じように生きているのだと思うと、フィールドにたった一人でいても、仲間に囲まれているような気持ちになります。

 日本で確認されている野鳥の種類は500種あまり、このうち日常的に観察できるのは300種あまりといわれています。それぞれの種にそれぞれの特徴があって、また、いろいろな性格の個体がいるので、いつまでも観察していて、飽きるということがありません。

 バードウォッチングに必要なのはビノキュラーですが、これは、7〜8倍程度で視野の広いものを選ぶといいでしょう。倍率の高いものは、視野が狭く、飛んでいる鳥など、動きのあるものを追うのに適していません。

 ビノキュラーで鳥を観察して、図鑑でその鳥を同定するには、いくつかポイントがあります。

 まずは、その鳥の大きさを確認すること。スズメ、ムクドリ、カラスなどを基準にして、どれと大きさが近いか確認します。

 次に、その鳥の体型的な特徴に注目します。嘴は真っ直ぐか、それとも曲がっているか。体型はスマートかずんぐりしているかなどです。

 第三に姿勢と動作に注目します。枝に止まったときに伏せるような姿勢でいるか、それとも縦に立ち上がった格好で止まっているのか。枝に止まっているとき、尾は縦に振っているか、それとも横に振っているかなどです。

 さらに、体の色、飛び方、歩き方、鳴き声、さらには群れで飛んでいるなら、その隊形が同定する重要なポイントとなります。

 いずれにしろ、はじめにも言ったように、鳥や動物を単なる観察対象としてでなく、身近な隣人として、その振る舞いを見ているだけでも楽しいものです。そして、鳥の名前を覚えるいちばんの早道は、そのように親しみを持って接することなのです。

・追記

 バードウォッチングはあんまり本格的にやるほうではありませんが、そんな素人のぼくでも重宝しているのが、日本野鳥の会がまとめている野鳥図鑑です。これは、水辺の鳥とか山の鳥と、生息する場所別に編集されているので、自分が行くフィールドによって必要な図鑑を用意すればよくなっています。サイズはコンパクトで、ポケットに入れても邪魔にならず、すでにかなり絞られているわけですから、同定もしやすく、フィールドワークを実践することを第一義としている機関が編集しているだけに、説明もつぼを得ています。

 

●アニマルウォッチング

 フィールドでじかに野生動物と出会うこと機会はあまり多くありません。それは、敏感な野生動物が人間の気配を感じて、こちらが気づく前に姿を隠してしまったり、ほとんどのほ乳類は夜行性であるためです。

 アニマルウォッチングの場合、動物そのものを観察するというよりは、その足跡や糞、樹皮などにつけられた痕跡を探して、どんな野生動物がその付近に生息しているのか推定する推理ゲームのような楽しみが主といったほうがいいでしょう。もちろん、そういった痕跡から活動範囲を特定し、持久戦で動物が現れるまで待つというやりかたもありますが……。

 いちばん手軽で面白いのは、地面や雪の上に残された足跡を探して、動物を同定することでしょう。イノシシやシカ、カモシカのような有蹄類、サル、ウサギ、テン、タヌキ、キツネ、それにクマ……、日本には約100種のほ乳類が生息しているといわれますが、それぞれに特徴のある足跡をしていて、また、その歩き方も千差万別で、それぞれがユニークです。、足跡を辿っていくと、どんなものに興味を持って立ち止まったのかとか、木の根で滑って尻餅をついた跡があったり、その個体の性格まで見えてきて、それだけでもけっこうドラマチックです。

 冒頭に、フィールドでは野生動物に出くわす機会はあまりないと書きましたが、それは相手にとっても人間にとっても、じつはいいことなのかもしれません。自然の中では、野生動物のほうが主役です。彼らは、自分たちの縄張りを持ち、自らのルールに従って生きています。その中に踏み込んでいく人間は、相手にとって、近寄ってほしくない邪魔者である場合がほとんどです。防衛本能を発揮した野生動物は、非常に危険です。とくに、クマやカモシカ、イノシシといった大型獣に襲われると致命的な結果につながってしまいます。ふつうは、こちらの存在を動物のほうが先に察知して、通り過ぎるまで姿を隠すのですが、たまたま風下から近づく形になって、お互い出会い頭のようになってしまったり、ハンターに追われた手負いの動物の逃げ道に入り込んでしまったりといったアクシデントが起きることもあります。子連れの熊などはとても神経質になっているので、不意に遭遇するととても危険です。クマと遭遇する可能性のあるフィールドへ入る場合は、クマ避けの鈴をザックに装着するのは常識ですが、フィールドではそういう危険も存在することを肝に銘じておくことも大切です。日ごろ文明に浴して暮らしているぼくたちは、自然の中では、悲しいかなよそ者なのです。

・追記

 以前、東北の山の中を夜中に歩いたことがありました。日中はそれなりに交通量のある林道で、昼間は動物の影すら見られなかったのですが、夜になると、一変して、まるで動物たちの天下でした。

 ヘッドランプの明かりに動物たちの目が、そこここで浮かび上がります。ウサギ、タヌキ、シカ、サル、ミミズク……みんな、生き生きと活動しています。しかも、今はあちらのほうが多勢に無勢であることを理解しているのか、ちっとも怯みません。それどころか、「こんな夜中に山の中を歩いている人間は、どんなやつだ?」と、こちらが観察されているような感じです。やはり、自然の中では主役は野生動物たちなのだと、そのとき痛感しました。

 ふだんの山歩きのときは、やはり、直接、野生動物を直接観察するのは難しいので、もっぱら足元に気をつけながら歩いて、いろんな動物の痕跡をさがすようにしています。獣道を辿っていくと、水辺やヌタ場にはっきり残った足跡を見つけることができます。タヌキ、キツネ、ウサギ、イタチ、カモシカ……、けっこうたくさんの動物が集まっているのがわかります。ホシガラスが羽つくろいでもしたらしく、岩の上に灰色のグラデーションのきれいな羽が何本も落ちているのをみつけたこともあります。樹林の中では、白樺の幹にまだ新しいクマの爪痕が残っていたりします。ぼくの10代から20代にかけての山登りは、ピークハントばかりに気持ちがいっていて、目指す頂上のことしか考えていませんでした。今、30代も終わりに近づいて、余裕を持ってフィールドを見られるようになって、森では多彩な動物が息づいていたのだと実感しています。

 動物の足跡をいちばんみつけやすいのは雪上。それも新雪が降り積もったばかりのパウダースノーなら申し分ありません。ウサギとそれを追ったキツネ、里を徘徊しようと山から出てきたタヌキ、ときにはクマの大きな足跡……冬のトレッキングの大きな楽しみでもあります。

 場所によっては、特定の動物の生息数が多く、出現頻度も高いということがあります。そういった特定動物の『名所』に行くのも面白いですね。大雪のヒグマ、立山の雷鳥、可愛らしいヤマネが餌をねだりに度々訪問してくる八ヶ岳黒百合ヒュッテのようなところもあります。

 もう5、6年前でしたか、アウトドアショップで様々な動物の足跡がプリントされたバンダナを見つけて、フィールドに出かけるときは、これを持っていくようにしています。ふだんは頭に巻いて、汗拭きにしていて、足跡を見つけると、すかさず外してどの動物の足跡なのか同定します。図鑑だと、いちいち取り出すのが手間だったりしますが、これなら、まったく手間にならず、けっこうこまめに調べようという気がおきます。

 ちなみに、同じようなバンダナで、星座がプリントされていて、星が夜光塗料のドットで打たれているものも持っています。こちらも、けっこう重宝しています。同じようなコンセプトで、『木の葉』とか『木の実』プリントのバンダナがあったら欲しいのですが、どなたか、ご存知ありませんか?

 

●山菜、キノコ狩り

 春から夏にかけてのフィールドでの楽しみといったら、何といっても山菜ですね。つぼみをほんの少し開きかけたフキノトウを摘んで、サッと湯がいて味噌とあえる。口に入れたとたん、早春を感じさせるほのかな苦みが広がります。日当たりのいい斜面に生えた刺だらけの枝の先端にはタラノメが顔を覗かせていれば、さっそく一番芽を摘んでテンプラ。さらにキャンプサイトの周りに自生するヨモギ、イタドリなどをちょっと摘み採って、ディナーのオードブルに……。

 夏から秋口にかけては、木イチゴや木の実の季節。朝の散策で木イチゴをたっぷり集めてきたら、シェラカップに砂糖と一緒に入れて、弱火で煮つめて山の香りいっぱいのジャムを作ります。

 そして、秋たけなわともなれば、キノコの季節。イグチ、ナメコ、シメジ、ヒラタケ、キクラゲ……。この楽しみにとりつかれたら、ついつい時間のたつのも忘れ、山に分け入ってしまいます。

 高山や北のほうの山でのキャンプなら、夏の間は高山植物が目を和ませてくれます。

 最近では、木の葉の図鑑を持ってキャンプサイト周辺を散策するのが日課になっています。木の全体を見てはなかなか見分けがつかないのに、一枚の枯れ葉を拾い上げて形を比べれば何の木なのか一目瞭然。「宇宙はディテールに含まれる」そんな言葉を思い出す一瞬です。

 

●スターウォッチング

 自然のまっただ中に身を置いていることをもっとも実感するのは夜だといったら、逆説的に思えるでしょうか。鳥の声や樹木の息づかいは都会生活でも身近に感じられないことはありませんが、息を飲むほどの星空が天空に広がる光景は、都会では絶対に味わえないものです。

 とくに、シュラフカバーひとつで、天蓋の下に眠るビバークの晩などは、その息を飲む透明さと広がりに心を捕らえられて、いつまでも呆然と天を眺めていたりするものです。

 日時を合わせるだけで、そのときに見えている天体を表示する星座早見表があれば、世界はもっと広がります。一つ一つの星座を確認しながら、夜空と向き合っていると、古の人々が、天体を眺めるうちに人類創世神話や壮大な夢をそこからつむぎ出した感性が、自然に理解できるものです。

 一方で、スターウォッチングには、ルートファインディングという実用的な側面もあります。太古より、北極星は、夜を進む冒険者たちにとって、たのもしい道しるべとなってきました。

・追記

 オートキャンプで荷物の積載に余裕のあるときは、必ず星座盤を持参します。薄い皿型の円盤を二枚組み合わせただけの簡単なものですが、日にちが刻まれた外周リングに内側の時刻のリングをあわせると、今見えている天球の様子が窓に出るとても便利なものです。星座をまったく知らなくても、今頭上に輝いている星の配置と同じものが星座盤の窓に表示されるので、照らし合わせてみればいいだけです。ちなみに、ぼくは、日本のワタナベ製のものを使っています。本格的に星座観測がしたいときは、ヘッドランプに、セロハンなどで自作したフィルターをかけて、星座盤を見たときの光の残像が残らないようにします。

 

●ロープワーク

 ロープワークというと、何か高等技術のようで気が引ける人が多いのではないでしょうか。たしかに、ロープワークを突き詰めれば、無数の複雑な結び方があって、それぞれに適した使用法が存在しています。

 でも、ふつうのキャンプ生活の中では、ロープの結び方に人の命がかかわるようなことはほとんどありませんから、ロッククライミングでのザイルワークのように、複雑なロープワークをいくつも覚えておく必要はありません。

 ロープワークに慣れた人でも、キャンピングの際に使うのは、ほんの2、3種類、それもごく簡単な結び方だけで、あとはそれを応用しているのがほとんどなのです。

 しかし、まったくロープワークを知らなくても、何かと不自由なものです。ここでは、最低限これだけ覚えておけば、キャンプ生活が快適になるというロープワークを紹介しておきましょう。イラストを見ながら何度か練習すれば、すぐに覚えられるはずです。

・クリンチ結び
  木や柱などにロープ端を結び付けるときに使います。力が加わるほどきつく締まるので、ハンモックの支点をとるときなどに最適です。

・テグス結び
  太さや素材の違うロープを普通に結ぶと結び目がほどけやすいものです。その点、結び目どうしが圧迫しあう、このテグス結びならしっかり結びつけられます。木と木の間にロープを渡して物干しにするときなど、一本のロープでは長さが足りないことがよくありますが、そんなときにロープどうしを結びつけるときに使います。

・プルージック結び
  メインロープやポールなどの途中にループ状(輪)にしたロープを引っかけて支点をとるときに使います。ロッククライミングでは、懸垂下降の途中で停止しておくときのブレーキとして使ったりします。

・追記

 ぼくは、キャンプするときは、φ6mm×10mのロープ1本と、φ3mm×5mほどの細引き4本を必ず用意していきます。どきらもザイルと同じくナイロンを撚り合わせたもので、かなり丈夫にできています。6mmφのほうは、非常時にザイル代わりに使ったり、場合によっては、束ねて車の牽引に使ったりします。3mmφのほうは、テントの張り綱や物干し、短く切ってループにしてランタンを吊るすフックにしたり、場合によってはシューレース(靴紐)代わりにしたりと、非常に重宝しています。

 

FOR EXAMPLE

●ハンドクラフト

 自然の中にある素材を使って、あるいはアウトドアで使う自分のオリジナルの道具を自作してみるのもフィールドでのアミューズメントとして面白いものです。

 例えば、自然が形作った石や流木を拾い、それをベースに多少の加工をくわえ、意匠を凝らした動物や道具を作ってみる。子供連れのキャンプなら、積極的にナイフを使わせるなどして、情操教育にも最高です。

 毛布とロープ、それに木の枝を利用してハンモック作り、あるいは大物に挑戦して、ティピ(ネイティブアメリカンのテント)の自作なんてのも、実用も兼ねた一石二鳥でいいかもしれません。

 遊び心があれば、フィールドはまさにワンダーランドなのです。

・追記

 マタギは、雪山に入るときでもテントは持参しないそうです。彼らは、木の空を見つけて塒としたり、雪洞を掘ったり、あるいは木の枝を組んで小屋がけしたりと、現場に手に入る材料だけを使って、そのときどきの休息場所を自作します。彼らの手法を参考にして、自分で小屋がけしてみるのも面白いですね。

 

 
 

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